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人生とオムレツは、タイミングが大事
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 どこにでもあるような家庭のどこにでもいるような主婦、曜子。
 彼女には、誰にも話していない過去がある。
 それは、少女の頃、祖父に引き取られ、アメリカで暮らしていたこと。
 そこで、銃の手ほどきを、徹底的に受けたこと。
 そして、その技術で、ただ一度だけ、大切な人を守るために、暗殺という仕事をしたこと…。
 消せない過去を抱えながら、それでも幸せに暮らしていたはずの曜子は、再び、銃をとる。大切な家族を守るために。

   - ☆ ・ ☆ ・ ☆ -

 暗殺というテーマに、暗く重い話になりはしないかと思っていたのですが、ホームドラマとハードボイルド、コミカルとシリアスが、うまくミックスされ、読み口は軽やか。
 主婦がスナイパーという設定も、荻原浩ならではのドラマ的リアリティの中で、すんなり、受け入れられました。
 主婦としての家族のこと、スナイパーとしての“仕事”のこと、それぞれが絡み合って、常に先が気になるストーリー展開ですが、人の命を奪うことで、曜子が背負ってしまったものの重さが、随所で胸をつき、決して、軽いばっかりの話ではありません。

 面白く読めて、読後感も良かったのですが、大切なもののために、いわば、自分を犠牲にしてしまう曜子に、もう少し、明るい救いが欲しかったような気もします。
 ただ、事情はどうであれ、人の命を奪っているのに、全てをクリアにして底抜けのハッピーエンドを用意する訳にはいかないというのが、きっと、荻原浩の見識で、それが、物語に、ひとつの筋を通しているのでしょう。
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