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人生とオムレツは、タイミングが大事
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 「丸かじり」シリーズ、第25弾です。

 時は2005年、BSE問題に牛肉業界が揺れていた頃。
 1年もの長きに渡って姿を消していた吉野家の牛丼が、1日だけ復活するというその日、朝からそわそわの東海林さん。店が空くであろう午後3時を狙って行けば、まだ並ぶ行列に、いったん、退却。再びのチャレンジは午後4時、ひとつ空いた席をすばやく確保、ついに、突入。興奮で高鳴る鼓動にカタカタ鳴る足。
 注文は、一言、「並」。普段なら、お新香に味噌汁もつけるのに、なにせ、1年ぶりの牛丼復活、朝から忙しいはずの店員を慮って、余計なものは頼まず、我慢。なんという、吉野家愛。
 が、しかし。空気を読まない隣の青年、のんきに、「大盛り、ツユダク、卵にお新香」。
 それを聞いた東海林さんの怒るの怒るまいの(もちろん、心の中で)。足のカタカタ、さらに激しく、その怒り、いかばかりのものか。

 これ、当時の国民の大多数(やや、おおげさ)が、こんな感じでしたね。いや、隣の青年を糾弾したりまではしなかったと思うけど。
 その後、3年を要して、完全復活した吉野家の牛丼、しかし、現在は、価格競争に巻き込まれて、苦戦の印象は否めず…。
 あの熱気を取り戻すことはできるか、がんばれ、ヨシギュウ!…といいつつ、最近、ツユダクのツユ、少ないような気がするぞ、と苦言など。

 その他、心ひかれたのが、うなぎの立ち食い、というか、うなぎで飲める立ち飲み屋。そのうなぎ、なんと、一串100円か150円!!こんなお店でさらっと飲める、粋な大人になりたいものです。
 …と思って調べてみたら、この店、いまでは、主人が変わって、うなぎをリーズナブルに、というのは変わらないけど、立ち飲みではない、普通の飲み屋にリニューアルされているようで。ちょっと、残念。
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 「ハードボイルド・エッグ」に続き、私立探偵最上俊平が難事件に立ち向かう、第2弾。
 今度のターゲットは、ロシアンブルー…、って、猫??
 …。やっぱりね。

 自分は断じてペット探偵ではないというけれど、営業努力は「ハードボイルド・エッグ」の頃より上だし(ヘルプ・ニャー(笑))、捜査手法も格段に進歩していて(数々のペット捜索のノウハウや推理には素直に感服)、ハードボイルドな私立探偵として生きるのも、どうやら、楽ではなさそう。

 今回の仕事も、いつものように(失礼(笑))、失踪した猫の捜索。
 ちょっとだけ特筆することがあるとすれば、依頼人が美女だということと、猫が高価なロシアンブルーだということ。…くらいだったはずが、すぐさま翌日、違う依頼主から、またもや、ロシアンブルーの捜索願いが。
 「全国でロシアンブルーが一斉蜂起しようとしているのだろうか」
 ついでに、その依頼主、どうみても、ヤ・ク・ザ。
 2匹(?)のロシアンブルーと美女とヤクザに、頭を悩ませる最上俊平。

 もうひとつ、最上俊平の悩みの種が、新たなパートナー、村島茜。
 ブロンドで青い目の若い女性というふれこみは、前任者片桐綾のナイスバディと違って偽りではなかったけれど、「ディスカウントが売り物のドラッグストアあたりに並んでいる安価なヘアカラーで染めたものに違いない」「とうもろこしのひげのよう」な金髪に、瞳は「もともとの目の色を隠しきれていないカラーコンタクトレンズ」の「くすんだダークブルー」、そして、年齢は「やぎ年」(笑)の16歳。ちなみに、高校は自主休学中?こちらも、ハードボイルドとは、ほど遠いようで。

 が、しかし。
 空腹時のキャットフードの前では、あっけなく崩れさる職業倫理も、守ると決めた人の前では、崩さない。
 どんな困難にも(多少、腰がひけつつも)立ち向かい、普段は人を怒らせる(もしくは、笑わせる)ハードボイルドチックなセリフを、ちゃんと決めてみせる瞬間は、なかなかに、かっこいい。相手に届いているかどうかは疑問だけど。

 “If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.”

  ポン引きにあっさりやられたり、ヤクザの前では声がかすれたり、はたまた、刑事と仲が良かったり(?)もするけれど、ハードボイルドに必要なのが、やさしさならば、最上良平、間違いなく、一級品。人にも、犬にも、猫にも。

 笑って泣けるハードボイルドとして、ハードボイルド小説の金字塔と断言したいこのシリーズ(他のハードボイルド読んだことないけど)。第3弾、熱望です!
 椎名誠さんといえば、スーパーエッセイ…
 というのも、今は昔。その当時は、よく読んでいたけれど、作風が変化・拡大、次々とでる著作に追っつかなくなってきたのもあって(本当に椎名さんはよく書きます)、ここしばらくは、脱落気味…。
 でも、「本の雑誌」での連載エッセイをまとめたこのシリーズは、いまも読んでいます。
 書評、雑感、行状記など、内容は多彩。ホームグラウンドでの連載ということもあって、枷なくのびのび書かれているような気がします。

 原稿書きを手書きからワープロに転じた話があって、この本がでたのは1999年(11年前!)、そんな昔に、椎名さんも機械化してたんだなぁ、と思いつつ、よくよく考えると、その頃といえば、WINDOWS95や98の時代。そこで、パソコンじゃなくワープロに向かうところが、なんというか、椎名さんらしい(笑)。
 なんて、(笑)といいつつ、つらつら考えると、その頃の自分といえば、WINDOWSとかいっても、かろうじて、職場のパソコンをさわれる程度(とてもとても“使える”とはいえない)。五十歩百歩のアナクロ具合なのでした(汗)。
 千年前。
 ぴんとこなくて、調べてみたら、「源氏物語」が完成したのが、ちょうど千年前、1010年のことだとか。

 はるかの昔より、立ちそびえる大樹。
 その樹に寄る人間は、時代を越えて、つながり、あるいは、くりかえし、もちろん、当人たちは、そんなこと、知る由もなく。
 ずっと立ち続ける樹と、その周りで、入れ替わり立ち替わる人間。実は、同じようなものなのかも。
 “子盗りの木”と呼んだり、天然記念物に指定したり、人が樹に対する扱いは、時代によって、真逆のようで、実は同じ、樹への畏怖の念と、それを利用した計算。樹が変わらないのといっしょ、人間も変わっているようで変わらない。
 そんな人間を、樹は、助けることなく、見守るでもなく、ただ、見つめるのみ。すべては、人による、人の営み。

 7つの短編は、それぞれで、時代を違えたふたつの物語が並行して語られ、そのうちの現代のパートでは、短編同士で登場人物がリンクしながら時が進んでいく、複合的な構成。大河のような大きなスケールと短編ならではの切れの良さが、うまく融合しているように感じました。
 いつもの荻原さんの味わいとは、ちょっと、違って、なんというか、どんよりと重い雰囲気が漂うけれど(そうでない話もあります)、読みごたえがあり、面白さは、いつもの荻原さんでした。
 いままで自分が読んできたきたみりゅうじさんの本は、ワンテーマで、かっちりとまとめられている印象が強いのですが、比べると、今回は、連載をまとめた本というせいもあってか、やや、とりとめのない感じ。
 いや、だから良くないというわけではなく、より“エッセイ”的で、楽しめました。

 とりとめがないといっても、軸は、ちゃんと、あるわけで、タイトル通り、きたみさんが、SEとして会社勤めをしていたときの話が中心(いままでの本と重なる部分もありますが)。
 中には、なかなかに過激な物言いもあったりして(ご本人いわく「食あたりにご注意を」(笑))、なんというか、それが、紛うかたなき、当時の感情なんだろうな、と…。
 でも、全体的には、しんどかったであろうこともさらりと、時には笑いにさえして、そこはさすがの、“きたみ流”なのでした。

 印象に残ったのは、この一文。
 「お仕事とは金になってナンボの世界」
 まさに。
 自分の仕事は、ちゃんと、金になってるだろうか(汗)…。
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[10/04 山手のドルフィン]


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